『共感を求める妻、問題解決したがる夫』ばかりとは限らない -夫婦喧嘩の傾向と対策を4象限で整理してみる

12favもいただいたので頑張って書いてみるよ。

 

 

 きっかけはこのツイートです。

kobeniさんが食いついてくれてそこそこ反響があったので、もうすこし掘り下げて考えることにしました。 

 

そもそも、共感と問題解決はベクトルの反対側に位置するものじゃないよね?ということで4象限図で整理します。縦軸に[共感が欲しい/共感はいらない]。横軸に[問題解決のために動いて/動かんでいい]として。で、ありがちなケースから順に番号を振りました。

 

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①.共感+問題解決のための行動、両方をもとめているケース

一番多いのはおそらくこれ。家庭のこと子供のこと、基本的に配偶者には共感し行動してもらいたいものです。「産後クライシス」なんてなってしまうのは、このケースの読み違えが多いのではないでしょうか。

例えば産後の妻が密室育児で心身ともに一杯一杯になっている時、あるいは育休から復帰した妻が家事育児と仕事の両立に苦戦している時、妻としてはまず大変な状況について話を聞いて、理解して、共感して、これまでの苦労を評価して、そして負荷を分担して欲しいと期待することでしょう。

妻の期待どおりに満額回答できればいいのですが、夫側も仕事の状況などからすぐには対応できない場合があります。

 

失敗例

☓ 妻からの「大変つらいので負荷分担を求める」という①のメッセージを、②のただ共感してほしいものと読み違えるケース。「つらい(だから分担して)」「わかった(共感がほしいんだね)」→(わかったっていつも口ばかり!何もわかってないじゃない!)(こんなに共感を示しているのにどんどん不機嫌になっていく。なんなんだよ!)と互いに険悪になります。

 

セーフな例

△ ①の要求に②しか返せないケースでも、夫側が「共感も行動も求められているのは分かるが、今は共感を示すくらいしかできない。ゴメン」という態度であれば、妻の側も共感を得られた満足感から、もうひと頑張りできる気になるかもしれません。

 

微妙な例

?? ②に③で答える。夫が問題解決能力が高すぎて共感を示すのが下手なケースです。家事?自動化か外注でいいじゃん?食事?惣菜でもいいじゃん?と解決策が出てくるのはよいのですが、それまでの苦労についての共感や労りがないと、感情面で遺恨が残るやもしれません。寝首を掻かれないように気をつけましょう。

 

②.ただ聞いて欲しいの。余計なことはしないでいいの、というケース。

苦手だからといって簡単に切れるものではないデリケートな人間関係の愚痴。ややこしい人間関係の中での不毛な感情労働の愚痴を聞いて共感して欲しいというケースや、あるいはデリケートな年齢の子育ての状況についてひとまず情報共有しておきたいケースなどもここでしょう。

「民生委員のXXさんは地域のボスで情報通で面倒見がよくて基本的にはいい人なんだけどたまに変なおすそ分けをくれるのが玉に瑕なのよ、自家製梅干なんていただいても家はほら誰も食べないじゃない?でも迷惑ですとは言えないし」なんていう話は、ただ聞きましょう。そしてソツなく近所づきあいをこなしていることに感謝を示しましょう。場合によっては頂いた食べ物を処分する罪悪感を軽くするような言葉もかけましょう。

 

失敗例

☓ ②共感だけを求められているのに、③共感せず行動をとるケースです。「なんだ。迷惑だと言えないなら俺が言ってやる」なんて余計な行動です。前半をちゃんと聞いて下さい。

 

③.共感できなくても問題解決のために動いて欲しい。

 家族はチームです。互いに得意なこと苦手なことが違うからこそうまく廻る面もあります。

たとえば部屋の中に虫がいたとき。

虫が苦手でこわくて「どうにかして><」という配偶者に、もう一方は平気でさっと虫を捕まえ追い出してくれれば、win-winというものです。

 

 残念事例

× 夫婦そろって虫が苦手な場合、虫対応の押し付け合いという軋轢が生じます。何でも共感できればプラスとは限りません。

× 虫が苦手という感情を、平気な側が馬鹿にしても喧嘩になります。あるいは虫を片付けてくれた相手に「よく触れるね。気持ち悪い」などと感謝も述べず馬鹿にしても喧嘩になります。互いに共感はしないでも穏やかな理解は示しましょう。

× 共感しないから対応もしない。「虫が苦手なんてわからないよ、こんなにカワイイじゃないか」と虫で遊んでいても喧嘩になります。

 

④.共感も、問題解決のための行動もいらない。

配偶者は時には一番身近な赤の他人です。身近にいるからわかってしまうし、隠す気はないけどいじって欲しくもない。共感も行動もいらない、という部分も夫婦の間にはございます。

たとえば毒親との葛藤。

配偶者のそういう側面が見えたとき、「ああ、そう」とだけうなずいて放置するのが最適解のケースです。

あるいは配偶者に理解は求めないマニアックな趣味。腐女子だとかダムオタだとか。それぞれ勝手に楽しめる世界があるのはいいことです。あまり干渉しないでおきましょう。

 

残念事例

× 毒親との葛藤を抱える配偶者に対し、「わかる!君の親は異常だよね!」とうかつな共感を示すと火種になります。毒親とはいえ他人に親の悪口は言われたくないものです。

× 薄い本の所持をカミングアウトはしたものの、読んで感想を述べられたり、一緒にイベントに行きたいと言われても、それはちょっと…。

 

 

まだまだケースはあげられそうですが、4象限による整理はひとまず以上とします。

■追記

 夫婦間のトラブルって、大体はコミュニケーション不全なのかなと思います。

 コミュニケーションの努力はしているのにどうにもモヤモヤが残る、噛み合わない、といった時には、上記の4象限を意識して伝え方・聞き方を工夫してはいかがでしょう。 

 

ここまで読んでくれた方の、コミニュケーションの一助になれば幸いです。 

 

 

(009)産後クライシス (ポプラ新書)

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余談。

ここまで配偶者とのコミニューケション不全によるトラブルについて考察してまいりましたが、そもそも何も言われていなくてもそれは駄目!ということも世の中にはございます。

 夫婦喧嘩の内情を、一方的な言い分で広く世間に公開する、というのもやってはいけないことの一つでしょう。

ですから本稿の内容も、基本的に一般論ですから。あくまでも「例」です。ex.です。そこのところご理解とご協力とお察しを賜りたく、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

あ、うちは夫婦喧嘩なんてありませんよ?